雪は溶け始めていた。

 太陽の光を受けたジャンプ台は水が染み、一部がもう崩れかけている。スキージャンプ「世界最長」への挑戦は、次の7本目が限界だった。

 小林陵侑は標高1115メートルのスタート位置につくと、小さく息を吸った…